自己分析は、ただ闇雲に過去の自分を振り返ればいいというものではありません。 「じゃあ、自己分析はどうしたらいいの?」今回はそんな問いにお答えしたいと思います。 前回のコラム「考え方編」と繋がっていますので、まだ読まれていない方は、そちらを先にご覧くださいね。
【就活】「自己分析②」方法編~人生のストーリー作り~
エルーシブゲーム
突然ですが、アメリカのトランプゲーム「エルーシブ」をご存知でしょうか? どんなゲームか説明しますと、まず親役とプレーヤー役に分かれます。 親は、自分で作った法則に従って1枚ずつカードを出していきます。プレーヤーは1枚ずつ出されるカードを見て、親が決めた法則にいち早く気づいた者が勝ちというゲームです。 上の図を見ていただくと分かりやすいと思います。
図の例の場合の答えは「1から始まり、数字が2倍になっていく。13を超える数字となる場合は、1に戻る。そして、柄そのものに法則はなく、赤2枚→黒2枚→赤2枚という色の法則がある。」となり、次のカードは「スペードの4」ということが分かります。 実は、この時のプレーヤーの答えの導き方が、自己分析の方法と似ているのです。
では、どこが似ているのでしょうか。
エルーシブゲーム方式の自己分析
エルーシブは、1枚1枚出されたカードをもとに、プレーヤーが仮説を考え、新たなカードによってその仮説を検証していきます。 つまり、カードという「情報」をもとに、プレーヤーが「共通点・法則(仮説)」を考えます。この部分が、自己分析の方法と似ているのです。 自己分析も同じく、「自分の情報」から、自分の共通点・法則見つけるのです。
では、自分の情報とは何でしょうか。
「自分の情報」とは何か
まずは「過去の自分の情報」です。過去の、楽しかったこと、好きなこと、没頭できたこと、頑張れたこと、嫌いなこと、したくないことなどです。
次に「現在の自分の情報」です。現在の自分とは、説明会や企業研究と言った就活を通してインプットされた情報です。例えば、あの仕事をしたいorしたくない、あの企業に入りたいor入りたくないなどです。また、自分の特性・能力を示す出来事なども現在の自分の情報になります。
最後に、「未来の自分の情報」です。自分は何になりたいのか、何をしたいのか、どんな生き方をしたいのかなどです。
これら3つの情報の思いつく限りを書き出します。そして、「それはなぜか?」を自分に問い掛けて、深めていきます。
例えば、なぜ自分はそれを楽しいと思えたのか、なぜあの仕事をしたいと思ったのか、なぜ自分はこういう生き方をしたいのかといった具合にです。 出来れば、一つの情報について「なぜ?」を3回以上問い掛けて深め、個別的な事(アルバイトの接客のあの場面にやりがいを感じる)ではなく、他のことにも応用・適用可能な所(人と接すると力が湧いてくる)まで「普遍化」させて欲しいです。
一貫したストーリーを作り上げる
このようにして、「自分の情報」をできる限り集めます。そして、それらから「自分の共通点・法則」を見つけ出して繋げ、過去・現在・未来の一貫したストーリーを作り上げていくのです。 この時に忘れていただきたくないのは、自分の共通点・法則について「仮説を立てて検証していく。」という視点です。
自分はこの仕事をしたい!という仮説を見つけたら、次はその仕事についての情報をあらゆる手で集めて、もう一度自分が本当にそれが好きなのか?について検証してみてください。 その検証を数回耐えた自分は、確固たる自分になるでしょう。また、検証の結果、新たな自分が見つかるかもしれません。これは、先ほど書きました「現在の情報」の一つを使った方法ですね。
つまり、業界研究や企業研究をすることによって、「新たな現在の自分の情報」をインプットし、自己分析を進めることになります。このことから、自己分析と企業研究等は、行ったり来たりするものと言えます。
実践するときの注意点
自己分析の実践に当たって、3つ注意して欲しい点があります。
紙に書く
頭で考えているだけでは脳の限界があります。出来る限り紙に書き出して、整理しながら自己分析を進めてください。自己分析用ノートを作っている学生も多いです。
悩むでもなく、考えるでもなく、考え抜く
自己分析の場合の「悩む」とは、ただ思いわずらうことです。「考える」とは結論を導こうとすることです。「考え抜く」とは、一応の結論を出すことです。一応の結論=仮説です。仮説を立てれば検証して、次に進むことができます。
間違いのない完璧な結論を時間をかけて導き出すのではなく、60%程度の納得度で構わないので、仮説を立てて、早く検証(行動)の段階に進んでください。
第三者目線も取り入れる
「ジョハリの4つの窓」という心理学の考え方があります。
これは、自分自身について
①自分も他者も知っている部分(公開された自分)
②自分だけが知っている部分(隠された自分)
③他人だけが知っている部分(盲点の自分)
④自分も他者も知らない部分(未知の自分)、
という4つの自分自身があるという考え方です。③のように他人だけが知っている自分もありますので、いわゆる他己分析も行って欲しいです。
まとめ
就活は、自分の将来を決める大切な決断をしなければなりません。しかし、これだ!という確信を持って一本の道を決断するのは難しいと思います。思考の迷宮に入ってしまう学生も多いでしょう。
もし、あなたがそうなった時はこれを思い出して欲しいです。「決断」は、”断つものを決める”という意味です。一本の道を決めようとするのではなく、これは違う!という断つ道を決める方向に思考をシフトすると、自然と進みたい道が残ると思います。